レース鳩との新し生活スタイル

「ペットとしての鳩の飼い方」という本を見たことがありません。

「伝書鳩の育成」、「レース鳩の訓練法」という類の本はたくさんあります。

ネットで検索すると、鳩を手乗りにして部屋の中で飼う人はいるようですが、手乗りの鳩を外で飛ばしていっしょに遊ぶという情報はヒットしません。

日本では鳩は完全にレース専用か、お座敷専用のどちらかだけなのでしょうか。



私は鳩も、インコ同様のペット、コンパニオンバードとしてよく懐いてほしく、かつ外でいっしょに遊べるのが理想と思い、その飼い方やトレーニングの方法を模索してきました。

そこで辿り着いたスタイルの一つが”移動鳩”です。

それは “インコのフリーフライト” 同様に、鳩をどこかに連れて行き、自由に飛ばせてやり、その鳩がまた手元に戻ってくるというスタイルです。

ネットでもなかなか情報がなく試行錯誤の日々でしたが、国会図書館の古い書籍に見つけた、移動鳩の育成法が大いに参考になりました。

これは戦時中に日本軍の育成していた伝書鳩に、”移動鳩”という訓練法があり、厳密に言えば私のものはそれとは異なりますがこれをベースにもう少しシンプルにしたものです。


通常、鳩はどこかに連れて行き放鳥をすると、辺りを数回旋回して方向を定め、一直線に鳩舎へと帰っていきます。

つまり飼い主には執着せず自分の住む場所へ向かって飛びたちます。

これは鳩の持つ帰巣本能と、優れたナビゲーション能力(日本語では位置特定能力とでもいうのでしょうか)によるものです。

ですからレース鳩 = 伝書鳩は鳩舎に帰るようにトレーナーに躾けられるのではなく、もともと帰ろうとする本能を利用して、その距離を伸ばし時間を短縮できるように訓練されるものです。


このようにレース鳩 = 伝書鳩は自分の”定住する”鳩舎に向かって飛ん帰るのに対し、”移動鳩”は鳩舎ごと移動し、その移動先で放した鳩がその同じ鳩舎に戻るというものです。

それを私は鳩が鳩舎にそのまま入る代わりに、私の手に降りてくるように躾けて楽しんでいます。


インコや猛禽類のオーナーは、このスタイルの放鳥を ”フリーフライト” 呼びますが、この言葉を鳩に使うのはどうかと思うので、私は移動鳩と呼んでいます。

インコのスタイルとは違いますが、レース鳩は昔から年中、野外で放鳥されてきました。それを今更フリーフライトと言い換えるのもおかしい気がするからです。

インコのフリーフライトと違うところは、レース鳩の放鳥は鳩舎で放されても他所に連れていかれて放されても、いつも鳩舎に戻りますが、インコのフリーフライト、及び私の移動鳩は連れて行った場所で飛び立ち、またその場所へ降りてくるところです。


試行錯誤を始めた当初は、鳩はこの帰巣本能のお陰で、もしはぐれても戻ってきてくれるだろうからインコのフリーフライト訓練よりはリスクが低く楽だろうと思っていましたが、これは間違いでした。

確かにインコより迷子になりにくいのですが、移動鳩というスタイルを選ぶと伝書鳩とは逆に、はぐれても家には帰ってきません。放鳥したその場所でひたすら待つことになります。

トレーニングの難易度もインコよりも上、そして私の環境では猛禽類によるリスクもインコよりも上だと実感しています。



移動鳩育成の難しさ

鳩の帰巣本能は強烈で、他所で放された場合は必ず鳩舎に帰ろうとします。

これを手の上に戻ってくるように躾けるということは、この本能の上に別な習慣を上書きすることです。

それを習慣化するまで続ける必要があります。

続く- 随時更新します

親子、アメとイカホの久しぶりのフライト