ビニールハウスで鳥の楽園を
ある日、放置された畑に残されてフレームだけになったビニールハウスを見て、これをフェンスで囲めば鳥が自由に遊べる広いアビアリーができるのでは?、と思いつきました。
アビアリーとは鳥の家のことです。
辞書では鳥小屋と訳されますが、”小屋”と言えば木の壁で囲まれて一面だけフェンスが張ってあるようなイメージですが、うちのはもっとオープンで明るいので、”鳥の家”という意味でアビアリーと呼んでいます。
ビニールハウスのフレームを使い実際に作ってみると、比較的低コストでできて、鳥と飼い主の双方にたくさんのメリットがあったのでシェアしたいと思います。
マンションや都会の家では難しいかも知れませんが、部屋飼いの鳥のためにもいくらか応用できるヒントになれば幸いです。
またつい最近、アビアリーを移転し少し広くしてリニューアルオープンしたので、この項目の就筆は私にとっての記念でもあります。
就筆予定の項目
アビアリーのメリット・デメリット
作り方・材料・コスト・注意点
鳥にとってのメリット
~自然に触れる~
土
土を踏む
アビアリーを作る時は、鳥がもっと楽しく過ごせる空間を作ってやりたいというのが第一の願いであり、目的でありました。
特に、中で飛んだり、大きな止まり木の枝を好きなだけ齧ったりして遊べることを思い描いていました。
外で自由に飛ぶことと比べればその空間はほんの小さなものですが、それでも実際に作ってみると鳥たちは室内放鳥と比べ物にならないくらい喜んでくれて、私も大満足しています。
しかし想定外に大きなメリットとなりここで特筆したいのが、鳥が日常、土に触れて生活できるということです。
またその大事さに気づかせてもらったことは飼い主の私にとって大きなメリットでした。
庭のアビアリーを作る以前に、ベランダに網を張ってアビアリーにしたときは、床が土ではないのでこれに気づきませんでしたが、アビアリーの中の鳥たちを見ていると、日に日に土の重要性を感じるようになりました。
鳥が土に触れることがなぜメリットなのかを順に説明します。
まず、鳩もインコも土の上に落ちた実を食べたり、土を払いのけながらその下に何かないかと探したり、土そのものを食べたりしながらアビアリーの中を歩き回ります。
それが実に意欲的で、まるで子どもが野山を散策しているように楽しそうに見えます。
特にセキセイインコは小さな石を実際に食べたり、齧っては落とし、齧っては落としを繰り返し、「ピピッ、ピピッ」と嬉しそうに鳴きながらずっと続けることがあります。
遊んでいるように見えますが、もしかしたら石を砕いた小さな粉を実際に食べていたり、嘴を研いでいたり、何か実用的な目的も兼ねているのかも知れません。
鳩は土にお腹をべったり着けて日向ぼっこをよくします。
やはり特別な心地良さや、日向以外にも除虫効果や体温との関係、もしくは体に貯まった静電気を逃がすアースになるのか、私に見えない土ならではの健康上のメリットを含むのかも知れません。
とにかく鳩もインコも土に触れることを喜びます。
餌の草が育ち、鳥が自分で収穫することができる
これは当初から予定していたことですが、アビアリーの地面を浅く掘り、鳩の餌やインコの餌として売られている種をそのまま植えることができます。
植えなくても鳥が勝手に散らかしたものや食べ残しをばら撒いて適当に水をやれば、そこから芽が育ち、実をつけます。
つまり食べ残しの無駄が減ります。
そしてアビアリーの中で実った粟や稗、麦やキビを鳥たちが自分で探し、ついばみます。
野鳥の日常のルーティーンと言えば大げさですが、その簡易版であり、おそらく鳥にとっては最良の遊びであり、楽しい時間の過ごし方ではないでしょうか。
餌の種によっては、パッキングして売られているものはまったく、またはほとんど食べないものでも草から取り立てのフレッシュなものならインコも鳩も嬉々として食べたりします。
小さなサバイバル空間
そこになっている草の実を食べることは簡単なことのように思えますが、見ていると鳥たちは意外と苦戦しています。
細い草の上の方になった粟や稗は、中型インコや鳩は茎を登ったり枝に止まることができないのでなかなか取れません。
実のところに飛んで行って掴んだり、ホバーリングして咥えたりしようと試みますが、なかなか要領を得ないようです。
茎を齧って倒せばいいことを教えてやろうかと思いましたが、今年は静観しました。
そのうちインコが自分で解決するのでしょうか。
収穫の季節を待たなくても、発芽したばかりの芽や若葉を鳩は食べ、インコは茎ごと齧るのが大好きなので遊びと栄養補給を兼ねるメリットがあります。
中には年に二回実を付けるものもあり、一方で多くの草は時季外れで収穫を期待できなくても芽を吹き茎もある程度育ちます。
また売られている袋に入った餌をテーブルや皿の上ではなく、敢えて見えにくい草の茂みの中に撒いてやることがあります。
いじわるな様ですが、鳥は時間を掛けて散策し宝探しをしながら食事をすることを楽しんでいるように見えます。
室内放鳥では床や箪笥の裏に餌をばらまくことは好ましくないので、これもアビアリーのメリットです。
土は健康につながる?
健康に関して私の見解は別の項でも書いていますが、健康とは怪我や病気をしないことではなく、心身共に本来のスキルを発揮できている状態だと思っています。
犬には散歩が必要で、それをしないとストレスになると言われる理由は、運動をしてエネルギーを消費し体の機能を維持するためだけでしょうか。
もしくは、一日中ずっと繋がれていたり狭い家の中に閉じ込められているので、小一時間ほどは外の景色を見て気分転換をする必要があるからでしょうか。
私は、犬の遺伝子の中に食料の確保やその他、生活を維持するために毎日必要な行動のプロセスがプログラムされており、それをこなさないとメンタル、フィジカルともに不都合が出てくるからではないかと思います。
特に犬に顕著な行動は、道端で出会うものや風に乗ってくる匂いを嗅ぐことですが、それに視覚や聴覚ともに得た刺激や情報を合わせて分析し処理するという一連のプロセスそのものが、歩くことと一体でプログラムされており、たとえ食料の確保が必要のない飼い犬でも、そのプロセスを消化する必要があるのではないかと思います。
同様にインコ(種による?)や鳩も、土の上に降り立ち、歩き、散策し、様々な情報を処理することが遺伝子のプログラムに入っているのではないでしょうか。
そう思えるのは、それがうちの鳥たちがまったく不自然でなく、かつ飽きずに続ける行動だからです。
土に対するネガティブな意見
インコを土に触れさせることへの否定的な見解を読んだことがあります。
それは土の中にはたくさんの菌がおり、病気に感染する危険があるというものでした。
具体的に、どういう環境の土にどの菌がおり、どの病気になるかということはまったく示されていませんでした。
具体的なデータや根拠がないにも関わらず、「あれも、これも・・かも知れない」という思いつく限りのネガティブなことをリスクとして数えるなら、とてもペットなど飼えません。
では果して無菌室の中で鳥を飼うのが理想なのでしょうか?
もともと鳥類も哺乳類も様々なタイプの菌と共存しており、免疫を高めたり、味方の菌を多く体内に取り入れることで健康を保っています。
少なくとも人間の健康に関しては、雑菌に触れずに潔癖的な環境で生活をすると、むしろ免疫力が下がり弱い体になると言われているようです。
土に触れることは野鳥も猫も毎日していることなので、鳥が健康体であれば何の問題もないと思っています。
野や山の土などには、インコや鳩に寄生し得るダニが入っている可能性はあると思うので、他の鳥が寄り付かないエリアの土の方が好ましいかもしれませんが、幸いアビアリーの土は真砂です。
それもフリーフライトの時などはあまり気にしません。
部屋飼いの鳥たちには
さて、既述したようにアビアリーの中でインコも鳩も土に触れ、食べたり遊んだり、日向ぼっこをすることを日課とし土は鳥に喜びであり大事なものと分かりますが、鳥を飼う上でまったく重要視されていないようで、鳥の飼い方の本やサイトに、土に触れさせましょうと書いているものを見たことがありません。
それは単に今まで興味の対象にならず、具体的に何も研究されていないからではないでしょうか。
せいぜいオーガニックを売りにした”商品としての鶏や卵”くらいでしょうか。
私は土の上で鳥を飼い始めてまだ1年にも満たないので、本当にメリットだけなのか、デメリットや健康に悪影響はでないのかというデータがないのでとくに推奨もしませんが、もし興味を持たれて、室内飼いでも試してみたい場合は以下の方法はどうでしょうか。
ケージの下の金網を外し、トレイに土・砂を入れる。
または盥(たらい)や大きめのプラスチックケースに土や砂を入れて、遊ばせてやる。
まわりにきれいな土や砂がない場合は、ホームセンターで栽培用や庭園用のきれいなものを購入できます。
せっかくきれいな羽が汚れると思われるかもしれませんが、乾いた土なら気になるほど汚れることはなく、また水浴びをしたり毛づくろいをしたり、鳥は自分で管理できます。
風
風に乗る
庭のアビアリーを作る前に、ベランダをフェンスで囲いアビアリーにしました。
その時の話です。
初日、セキセイインコのジャンゴを指に乗せてベランダに出ると、南から吹いてくる向かい風に向かって
「ピッ!」
と鳴いて、嬉しそうに指から飛び立ったのを思い出します。
ジャンゴが初めて風らしい風を体験した日でした。
ベランダは南北6メートルに伸びていて、朝は北、午後からは南の潮風吹きます。
体が弱く、普段あまり動き回ることのないジャンゴが風に逆らって飛んでいき、止まり木に止まった後に、今度は追い風に乗って帰ってきて、しばらくしてまた向かい風を楽しむように飛びました。
「ああ、良かった」と思いました。
これだけでもアビアリーを作った甲斐がありました。
ジャンゴはセキセイらしい機敏な動きができず、バタバタと不器用に羽ばたく様子が、逆に蝶が舞う様に健気で可憐に見えました。
ベランダ・アビアリーも鳥たちに好評で、毎朝部屋でケージの扉を開けると、セキセイインコ2羽、ワカケホンセイインコ、ジュズカケバト、4羽の鳥たちが一斉にベランダに向かって飛び立ちました。
廊下の突き当りを曲がって一部屋を抜けた先がベランダで、止まり木まで一気に飛んで、はしゃいだり歌ったりしていました。
※アビアリーも、止まり木も、おやつも新しいものは何でもジャンゴに一番に体験させています。→ブログ「命の重み1 ~出世魚とセキセイインコ」
風のマジック
初日、普段大人しいジャンゴが無心に羽ばたいたように、向かい風は鳥にとって本能的な部分を触発するもののようです。
私の経験では飛び始めたばかりの若鳩も、向かい風を浴びると飛び立とうとします。
経験を積んだ鳩も岸壁や堤防で向かい風を感じるとホバーリングをして遊ぶことがよくあります。
インコの場合は肩や手に乗せて進んだ時に、ある程度のスピードを感じると飛び立つようですが、これも或いは向かい風が刺激になっているのかも知れません。
もしかしたら、野鳥が巣立つときの初飛行は向かい風に向かって飛び立つのでしょうか?
向かい風は、鳥が前に進むためには抵抗となりますが、上に舞い上がるには補助となるので、空中に留まるには無風や追い風よりも楽かと思います。(推測)
恐らく鳥はそんなことを考えていなくても、風に本能的な何かが刺激され、触発されるのは確かなようです。
ジャンゴを始めうちの鳥たちは、室内で放鳥していたころは、せいぜい網戸越しの風しか知りませんでした。
ワカケホンセイインコのフェリーチェは2歳以上までペットショップにいて、ベランダ・アビアリーを作ったときは3歳になっていたかも知れません。
その後にうちに来たウロコインコとオキナインコのコンビ、ポップとアグアは若くして風を体験できたのでラッキーだったと思います。
距離は短くても、追い風、向かい風、横風を攻略しながら飛ぶのは楽しいはずです。
空
変化と刺激
アビアリーを作るときに、鳥たちに大空を見せたいという思いがありました。
部屋の窓やベランダからも空が見えますが、一面だけでなく天に広がる空です。
青い空と太陽、流れる雲、夕焼け、夜は月と星。
変化を続ける空を見ていると退屈しないのではないかと思いました。
これに加え野鳥たちがいます。
ところで、鳥を飼う上で恐怖やストレスというネガティブな刺激を与えることは、ほんの小さなもの、または短時間のものでもいけないことなのでしょうか?
鳥に限らずペットの飼育本やネットには、ペットに少しでも快適で楽しい環境を作ってあげましょうと書いてあります。そして恐れや不安を抱かせて良いことは一つもないように書いてあります。
本来人といっしょにいないはずの動物を、わざわざ買ってきたりもらってきたりして人間と同居させるのだから、できる限りのことをしてかわいがってやるのは当然だと思います。
では、まったくリスクやトラブルを感じない生活を続けることは、鳥のメンタルにとって本当に良いことなのでしょうか?
敵を見ること
うちのアビアリーはフェンス越しではありますが天井がオープンです。
そのところどころ葦簀(よしず)やご座でカバーしながら、真上に空が見えるスペースを残してあります。
うちのインコや鳩は、毎日その上を飛ぶたくさんの野鳥たちを見て、また野鳥たちから見られていることも意識して生活しています。
多くの野鳥が来ますがたまには鷹やハヤブサも飛んでいます。
私がたまに見るくらいなので、うちの鳥たちはもっと頻繁に認めていることでしょう。
一羽が、危険が迫ると判断すると警告の声を上げて他に促し、葦簀の下やアビアリーの奥のエリアに皆が一斉にに非難します。
面白いのは、この危機回避の合図は種類の違うインコ同士、さらに普段仲の悪い鳥同志、そしてレース鳩と数珠かけ鳩もインコたちといっしょに一つの群れとして動きます。
小さなスペースなので一羽に危険が及べば、皆それが自分にも降りかかってくると分かるのは当然ですが、仲の悪い鳥同志を庭のアビアリーとベランダのアビアリーに分けて入れているときも、一方が安全確認の呼び鳴きをするともう一方が応え、どちらかが警戒の声を出すともう一方は明らかにそれを気遣っている相手の方角を見て確認しようとします。
【迷いインコの見つけ方】の項でも書きましたが、いっしょに住む鳥たちは嫌いな相手でも群れという意識があり協力関係にあります。
そしてよく観察していると、アビアリーの鳥たちは外で鳴くスズメやヒヨドリなど、野鳥の声も常に意識しています。
毎回私に分かるほどの反応は見せませんが、インコが野鳥の声に答えたり
聞き分けて何かを探ろうとしているような表情を見せるときがあります。
これらの行動は、おそらく猛禽類以外のすべての野鳥の本能に基づくものだと思います。
このように危険を意識することは、鳥が鳥らしさを保つために大事なことと思えます。
各鳥が敵を見つけたり警戒したりすること、そして鳥同士の繋がることによる刺激や学びで脳を活性化させるからです。
もちろん、毎日過度に怯えて暮らすような生活を強いるというわけではありません。
葦簀やご座は日陰を作るためだけではなく、外からの視界を遮るためでもあります。
因みに、逃げ場のない大空は鳥にとっては大きな恐怖なので、ケージを外に出すときは、曇り空でも必ずケージの上を少しでも覆うものを掛けてやった方が良いと思います。
敵が上空を通り過ぎるのは野鳥の生活では毎日のことで、それがトラウマになるようなこととは思えません。
うちのインコたちは夜はケージに入って家の中で寝ています。
気温がマイナスになる夜は鳩たちもいっしょに家で寝ますが、どの鳥も朝が来るとアビアリーに行くのを待ちきれないというように騒ぎ出し、アビアリーに入ると嬉々として飛び立ちます。
追記:
本日(この項を書いた翌日)、庭のアビアリーに猫が近づき中型インコたちが警告の声を上げました。
それにベランダのセキセイインコたちが呼応すると、少し離れた木に止まっていた野鳥が物凄い速さで山を目指して飛んでいきました。
野鳥がいたのは庭のアビアリーからだいぶ距離があり、猫からは何の危険もない位置でしたが、やはり種類が違っても鳥たちは繋がってるんですね。 2021/02/20
雨
今日は午前中が雨でした。 (令和3年4月)
長さ8メートルのアビアリーは、現在奥から約5メートル程をビニールで囲ってあり残りは屋根が掛かっていません。
最近は夜、かわら鳩(レース鳩)2羽はアビアリーの中に置いてある鳩舎で寝ており、中型インコ3羽と数珠かけ鳩(ジュズカケバト)は家で寝かせて毎朝このアビアリーに連れて行きます。
セキセイインコ2羽は主にベランダの小さなアビアリーに入れています。
今朝は雨の中アビアリーに連れて行くと鳥たちはしばらく屋根の下にいましたが、そのうちワカケホンセイインコが屋根のない方に置いてある水入れの中に入り、雨を浴びながら水浴びを始めました。
水がよく入り込むように羽を立てて気持ちよさそうです。水入れを出てもずっと雨の中にいました。
そして数珠かけ鳩も出てきて太い枝の止まり木に止まり、羽を片方ずつ挙げて雨でシャワーを始めました。
毎回ではありませんが雨の日によく見る光景です。
ワカケホンセイインコのフェリーチェは晴れた日でも水入れの中に入り水浴びをすることがありますが、それほど頻繁ではありません。
やはり雨に触発されて水浴びを始める方が多いようです。
数珠かけ鳩のシエリートは晴れた日に足を冷やしているのか、水入れの中に立っていることはありますが、雨のシャワー以外で水浴びをしません。
水タンクの蛇口からでる水にも反応しません。
一方、ベランダのアビアリーの方ではセキセイインコの2羽も喜んで雨に濡れていました。
こちらには軒の下からはみ出して、少しだけ雨の掛かるエリアがあります。
そのフェンスに張り付いて次々に水玉を齧るようにして遊びながら、水しぶきを浴びていました。ピッ、ピッ!と声を上げて興奮していました。
白い方のジャンゴは水道や水タンクの蛇口から水を出すと喜んで水浴びをしますが、青い方のステファンは普段まったく水浴びをしません。
水溜に入ることもなく蛇口の水で他の鳥が楽しく水浴びをしているのを見ても反応を示しません。
本能とは?
いつも、同じ種類の鳥でも性格が違うものなんだと思って見てきましたが、最近この”性格”という自分の定義に疑問を持ち始めています。
何が性格で何が種に起因する本能なのかが分からなくなってきたからです。
上記のように同じ種のインコなのに片方は水浴びが好き、もう片方はまったくしないというのは一見性格の違いのように思えます。
しかし種の持つ習性というものは、それを刺激し引き出す環境にいない限りは実際の行動には現れないようです。
例えば孵化したばかりのウミガメの赤ちゃんがすぐに潮に向かって這っ行き泳ぎ出す行動などをもって、私はずっと本能というものは教えられなくても自動的に発動するプログラムという意味だと思っていました。
しかしどうやらそれは間違いのようで、例え親や仲間に教えられなくても何かそれを促すための環境の中にいるが必要あるらしいのです。
例えば親鳥が卵を抱くのは腹に当たる卵の温度が心地良いためとか、雛が親を認識するのは親鳥の嘴にある一部の特徴であるなどです。
これが同じ親から同時に生まれ、まだ巣の中で親からほぼ同等の扱いを受けている段階で、ある者は活発に動き、あるもの者は大人しい、攻撃的、優しいという違いが見えるなら性格の違いと言えるかと思います。
しかし同じ種でも育った環境が違う鳥同士が違う行動を取るのは、性格の差とは言えないかも知れません。
片方が水浴びをして片方はしないなら、成長過程で水浴びを促すための刺激の種類や年齢、段階が違ったためと思われます。
水浴びは一例に過ぎませんが、動物をペットとして飼うにもなるべく幼いころからその種が野生の成長過程で体験するであろう環境に近づけ、経験させてやることが大切ではないでしょうか。
ペットの鳥が、例えば水浴びのような野鳥の習慣を身に付けなかったからと言って差し迫った危険や不都合がいくつもあるとは思えませんが、むしろメンタルの発育には影響があると考える方が自然ではないでしょうか。
生きた草木に触れる
先日ある科学者の先生がこんなことをおっしゃってました。
「昔はよくマンションの中庭に木を植えていた。しかし最近はそれをしなくなった。
その理由は、中庭の日当たりの悪い場所に育つ木は元気がない。その元気がない木を見ると住人も心理的にネガティブな影響を受けて、鬱に(と言ったか?元気がなくなって)なってしまうことが分かったからだ。」
ということでした。
言われてみるとありえそうな気がします。
さて鳥の話ですが、通常飼い鳥の止まり木として与えられる木は乾いています。
健康状態で言えば、忌まわしい言い方ですが死んだ木です。
木の健康による人体への影響は最近分かったことなので、鳥への影響となると研究もされていないと思われます。
しかしながら鳥と木は切っても切れない関係です。
木の健康状態が人に影響を与えるなら、鳥にはなおさらだと思われます。
地面に降りて何か食べたり屋根や電線にも止まりますが、本来は飛んでいないときは木に止まっているものです。
木で生まれて、育ち、仲間や夫婦で歌い、遊び、食べ、敵から隠れ、夜には寝ます。
少なくともだいたいの種のインコはこれに該当すると思います。
私は生きた木に止まり、中で遊ばせてやれることはフリーフライトの大きなメリットの一つだと考えていますが、アビアリーでもそのメリットをいくらか再現できます。
かと言って鉢植えの植木を入れてやってもインコの格好のおもちゃとなり、数時間で丸裸にされます。
私は剪定した庭木の大きめの枝や、ボランティアも兼ねて農道沿いにはみ出した木の枝を切ってアビアリーに入れてやるようにしています。
これは感覚的なものでしかありませんが、セキセイインコ、ワカケホンセイインコ、ウロコインコ、オキナインコ、ジュズカケバトはすべて喜びます。
カワラバトに関しては正直なところ、喜びを表現しているのかどうか分かりませんが、太めの枝なら好んで止まります。
他はすべて見ればわかるように喜びを体で表してくれます。
このホームページにもう何度か書いていますが、動物はなんらかの刺激によって内なるプログラムを起動させるらしく、そのひとつひとつの対して何が刺激になるのか、まだまだ解明されていない部分がたくさんあるはずです。
よって一番確実なのは少しでも自然の中で生きる状態に近づけてやることではないでしょうか。
例えばオキナインコはその体の大きさからすると信じられないくらいの大きな枝を運び、一角に巣を作ろうとします。
太い枝から一部を切り取って小枝を運び編んでいきます。
やみくもに枝を重ねるのではなく、安定するように編み上げていき、見直しては気に入らない部分の枝を抜き取ってもう一度別の角度に差し込んだりします。
すでに頭に完成図があるのかも知れません。
これらは何かからの刺激によって発動された行為で、またこの作業をしながらさらに頭脳も身体能力も発達させていることでしょう。
因みによく動物の知能を人間の年齢に例える人がいます。
「ヨームは賢く、人間でいうと5歳くらいの知能がある。オキナインコはヨームに次ぐ賢さなので4歳くらいの知能があると思われる」
などと真面目に書いた本やサイトがあります。
「牛や豚はバカだから食べていいけどクジラは賢いからだめだ」という発想もこういうものの見方から来ていて非常に危険だと思います。
こんなことを言ってる人たちは、4歳の幼稚園児が小枝の長さや重さを目測して切り取って、崩れないようにかご状のものを編んでいくという頭脳があると思っているのでしょうか?
さらに本当のポイントはそこではありません。
彼らの本当の頭の良さは、自分が生き延びて子孫を残すために「今巣を作るべきだ」と直感し作業を始めるところだと思います。
つまりそれぞれ独自の方法で繁栄してきて今に至っているものたちを、何歳の知能だとか、こっちの方が頭がいいという見方じたいがナンセンスだということです。
話を戻すとこのように本来いる環境に少しでも近づけてやることは心身の発達に繋がり、イコール健康と幸せにも繋がると思います。
アビアリーの中では木の皮を齧ったり、小枝や葉っぱを散らかしてもお構いなしです。
草については既述ですが、生きた植物に触れさせてやれるのは大きなメリットと考えます。
—–この項目は随時更新します—–
飼い主にとってのメリット
ほとんど掃除の必要がない
飼い主にとってのアビアリーを作る大きなメリットの一つは、まずほとんど掃除の必要がないということです。
ケージと室内放鳥というスタイルで鳥を飼うと、掃除にかかる手間暇は膨大なものになりますが、そのほとんどがなくなり、今までそれに使っていた時間とエネルギーをトレーニングや遊びに回せます。
まずフンの始末がいりません。
毎日のケージの底板の掃除や、室内放鳥の際に床や家具に気を遣うことを思えば、これがなくなるだけでも救われるような気がします。
アビアリーではフンは土の上に落ちるので、適度な日当たりと風があれば自然に渇いて土に帰ります。
気になるほど目に付いたり、臭ったりすることもありません。
そして上記のように餌となる草が育つ際の肥料になります。
食べかすや食べ残し、水を替える際も地面の端の方にそのまま撒くだけで、この中から芽が出て、やがて新鮮な実を提供してくれます。
また残った実は鳥が見つけて食べたりします。
飼育本には、食べ残した餌は捨てて毎日新しいものを与えるようにとありますが、これは室内でケージ用の小さな餌箱の中だと、虫や雑菌が湧きやすいからだと思います。
日光と風にさらされた土の中に落ちている草木の実を鳥が食べることは、まったく自然なことで問題にならないと思います。
水浴びも、鳥が好きなだけ水をまき散らしても神経質になる必要がありません。
唯一気を遣うのがフェンスに絡まった羽くらいで、それも洗車に使うような大きめのブラシで軽くこすればすぐに取れます。
仲の悪い鳥たちもいっしょに飼える
適度な広さがあれば、仲の悪い鳥同志を同じスペースで飼うことができます。
ただし、どちらかに大きなハンディキャップがある場合を除きます。
室内放鳥ではすぐに喧嘩になってしまうような関係でも、鳥のためにたくさんの止まり木でレイアウトしたアビアリーなら、それぞれ場所を選び、片方が攻撃しようとしても十分に逃げたりガードしたりできます。
うちではウロコインコが自分よりはるかに大きなレース鳩を追い回したり、セキセイインコが同じく数倍も大きなワカケホンセイインコを追い回すことがありますが、相手のストレスになるほど続けることもなく、またうまく逃げるので実際に噛みつかれることもなく、仮に噛みついても出血するほどの怪我に至らないので、適度な運動としてそのままにしています。
またウロコインコとオキナインコが、2羽いるセキセイインコの元気のいい方に目の敵のような態度を示した時期がありましたが、この力の差を持って、もし噛まれたら重症になってしまいますが、すばしっこいセキセイは決して捕まることがありませんでした。
セキセイの方は軽く逃げては、自分から近寄っていったりして、おちょくっているようでもありました。
最近はもう諦めたのか、近くにいることに慣れたのか、中型インコ2羽がこのセキセイインコを攻撃することもほとんどなくなりました。
続く
アビアリーのメリット・デメリットの続き、建設方法、コスト、注意点など更新していきます。
動画 インコと鳩 ☆寒波のアビアリー紹介1 / Introducing my aviary 1★ parrots, dove, pigeons.