逃げたインコの効果的な探し方





インコがどこかへ飛んで行ってしまったときにどうやって見つけるか、実践的なインコの捜索マニュアルをまとめました。

インコ・オウムの習性に基づいて順序立てて解説しています。

私は鳩とインコ以外をよく知りませんが、鳥の心理や行動パターンには共通点があり、他の鳥のロストにも応用できることも多いと思います。

迷子のインコの情報サイトやSNSへの投稿、貼り紙や警察への届けなど二次的な手続きも並行して行ってください。


逃げたとき

・動かずに見届ける

・名前を呼び続ける

捜索に出る前に

・仲間のインコを連れてくる

・スピーカーで呼び鳴きを流す(ユーチューブでもいい)

・インコも人も鳴き声がたより

捜索

・インコを探しに行くときは誰かが家で待つ

・鳥が見慣れている服装で行く

・呼び鳴きを聞かせる

・目よりも耳で探す

捕獲

・鳥が見慣れた服装

・笑顔が大事、家と同じようにふるまう

・大きな音、大きな動き、速い動き、見慣れないものはNG

・飼い主でもまっすぐ近づくと逃げるかも

外で餌を与えるなら

自分の経験

まとめ



いなくなった翌日帰ってきたセキセイインコのステファン

逃げたとき

名前を呼び続ける

動かずに見届ける

逃げたインコは家に帰りたがる


窓やベランダからインコが逃げた場合は、自分は動かずにインコがどの方向へ飛び、どこかに止まったかを見届けることが大切です。

どこかに止まらなくても見えなくなるまで目で追います。

ありがちなミスで、インコがまだ飛んでいる途中に慌てて玄関の方に走って行くと、あなたが外に出たときはもうインコは見えなくなっています。

これでは最終的にどこに止まったのか、どの方向に飛んで行ったのか見当がつきません。

小型インコなら100メートル、中型なら200メートル、オウムや大型インコは400メートル以上目で追うことができます。

よほど開けた場所以外は建物や木に視界を遮られることが多いですが、だいたいの方角と距離を目測しておきます。


そして鳥が飛んでいる間も、見えなくなった後もなるべく名前を呼び続けてやります。

これはたとえすぐに帰ってこなくても、インコに家の方角を忘れさせないためです。

鳩の帰巣本能は有名ですが、飛び出して迷子になってしまったインコも時間が経ち心細くなったり空腹になると、住み慣れた家に帰ろうと試みます。


捜索に出る前に

仲間のインコを連れてくる

スピーカーで他のインコの呼び鳴きを流すユーチューブでもいい

インコも人も鳴き声がたより


逃がしたインコが止まった場所が特定できるときはすぐに駆けつけてやれますが、どこにいるか特定できない場合にやるべきことを書きます。

またいつインコが逃げたか分からず、気が付いたらいなかったという場合も含みます。


遠くに行ってしまったインコを探すには、他のインコの呼び鳴きを聞かせることがとても有効です。

インコの鳴き方にはいろいろパターンがありますが、呼び鳴きとは文字通りインコが仲間や飼い主を呼ぶときの鳴き方です。(生物学での定義は違う)

複数飼っている場合は、その中から逃げた鳥と仲のいい鳥をケージごと連れてきて外から見えやすい場所に置きます。

そしてその場で仲間の鳥の声を数十秒程度でいいので携帯で録音して(動画撮影でもいい)、リピートモードにしてスピーカーから流し続けます。

呼び鳴きの録音の仕方は、携帯を鳥の近くに置き録音を開始してから、あなたが鳥から見えない場所に移動してその鳥の名前を呼んでやります。

これに答える声が呼び鳴きとして使えます。

他に鳥が複数いる場合は鳥同士が呼び合う声や遊ぶ声をそのまま使えます。

音量は大きい方がいいので部屋用のスピーカーがあればそれを使います。

可能なら家の別の方向にもう一台スピーカーを置きます。


仲のいい鳥がいない場合・一羽飼いの場合

同じ家で飼っている鳥なら、普段仲が悪かったり種類が違う鳥でも効果があります。

一羽飼いの場合は、ユーチューブにある同種のインコの呼び鳴きを流します。

”〇〇インコの呼び鳴き”、または”〇〇インコの鳴き声”で検索するといくつか出てきます。

ただし、激しく鳴く警戒の声(セキセイインコならジジジジジッ)は他の鳥をナーバスにするので避けた方が良いかも知れません。(未確認)


ずっと家の中で生活してきた鳥は自分の家を外から見たことがありません。

近くにいてきょろきょろ見渡してもどれが自分の家か認識するのは難しいことも多いはずです。

そのようなときは、目よりも耳の方が頼りになります。

※知らない鳥の呼び鳴きでも効果があるのかと思い、ユーチューブにあるセキセイインコの声をうちのセキセイ2羽に聞かせてみると、一羽はすぐにスピーカーの方に飛んできて、もう一羽は特に気に掛ける様子もありませんでした。

このように個体差がありますが、試す価値は十分にあります。

(完全に一羽飼いで人とだけ暮らしてきたインコが、同種の知らないインコの声に反応するかどうかは未確認です。)







ここでのポイントは、逃げた鳥がすぐに帰ってくるかどうかではなく、その鳥から返事があるかを耳で確かめることです。

逃げたインコにこちらの声が届いてもすぐに帰ってこないことの方が多いと思われます。

それは初めて見る外の世界が刺激が強すぎて、興奮または緊張状態にあるからですが、動けなくても返事を返していることがよくあります。

騒音や野鳥の声に紛れて聞き取りにくいですが、注意してよく聞いてください。

スピーカーの鳴き声の合間や、時々ボリュームを落として耳を澄まして逃げた鳥からの返事がないか注意深くチェックをします。


また仲間の鳥の方もよく見てください。

人間には聞こえなくても、仲の良い鳥をよく見ると逃げた鳥からの声に反応したり、呼び合ったりしていることがあります。

※よく懐いたインコなら飼い主の声が一番反応がいいかも知れませんが、うちのインコを見ていると離れた場所や他の騒音で聞き取りにくいような場所では、人の声より鳥同士の声の方が聞き分けやすい、または刺激的で反応しやすいなど何らかのメリットがあるように思えます。


捜索

インコを探しに行くときは誰かが家で待つ

鳥が見慣れている服装で行く

呼び鳴きを聞かせる

目よりも耳で探す


逃げた方向に探しに行くときも、なるべく家族の誰が家に残り外を見張りを続けます。

これは逃げた鳥は家に帰ることを試みる場合が多くあるからです。

もし帰ってきてもそこに誰もいなかったら、またどこかへ行ってしまうかも知れません。

人がいなくても仲間の鳥がいるだけでだいぶ心強くなりますが、カラスや猫、自動車など怯える材料がたくさんあるので、なるべく人が待ってやった方がいいでしょう。

これは家以外の場所で逃げた時も同じで、逃げたその場所でも誰かが見張りを続けます。


捜索中も、家に仲間の鳥のケージを見える場所に置き呼び鳴きをさせ、できれば同時にスピーカーで鳴き声をかけっぱなしにします。

そして、迷いインコのケージも見えるところに置いてやります。

逃げだした直後は帰って来なくても、数十分または数時間後、数日後に無事に帰ってくることがあります。

探しに行く時は、防暑、防寒が必要ですが、なるべくその鳥が見慣れている服装で行くのが理想です。


捜索する人も、可能なら音の大きいスピーカー、無理なら携帯電話のスピーカーでもいいので仲間の鳥の声を流しながら歩きます。

ここでも重要なポイントは名前を呼んでやり、その後は耳を澄ませて鳥からの返事がないかよく聞くことです。

小型のインコをあてもなく目で追って探すのは非常に困難です。

保護色のインコが木の枝に止まると3メートルほどの距離からでも見えないことがよくあります。

ですから耳による確認は非常に重要になります。

双眼鏡があれば便利ですが、それでやみくもに遠くを探しても見つかる確率は非常に低く、鳥の声が聞こえたらその方角を見るときに役立ちます。


重複しますが逃げたインコにこちらの声が届いてもすぐに反応しないことがあります。

しかし少し時間が経つと怖くて動けなくても返事を返していることもよくあります。

名前を呼んで目で確認しただけで次の場所に行くのではなく、少し待ってもう一度名前を呼んで返事があるか注意深く確認してください。


もし複数のカラスが騒ぎながら同じ方角に飛んで行ったり、どこかに止まって同じ方向を向いて騒ぎ続けていたら、その先に逃げたインコがいる可能性があります。

その時は急いで駆けつけましょう。

カラスが襲うは飛び始めて間もない若い鳥、成鳥でも狭い空間でほとんど飛ばずに育った鳥、体調が悪い、または体力がないなどなんらかのハンディキャップを持った鳥です。

中型、小型インコで家の中で活発に飛びながら育った健康な鳥は、仮に襲われても元気なうちは捕まるリスクは低いと思われます。


インコは暗くなると活動しません。 

どこかでじっとしていた鳥が家に帰りたくて日が暮れる直前に飛つ可能性がありますが、もし再会できないまま日が暮れてしまったら早めに帰り、なるべく心の緊張を解いてゆっくり休みましょう。

心配は尽きませんが、自分を責めてることはやめましょう。

あなたの心も体も弱らせては解決に繋がらないだけでなく、インコとの再会を遠ざける可能性の方が高くなります。

インコは数日間は何も食べずに生きていけます。

また何かしら食べながら数週間後、数か月後に元気に帰って来たという例もあります。

諦めず、翌朝からも環境が許す限りスピーカーで呼び鳴きを流しながら、捜索を続けましょう。

目安としてインコはカラスほど早起きではありませんが、うっすら明るくなってきたら呼べば反応することがあります。


重要な追記と訂正

先ほど、SNSの仲間からウロコインコをロストしてしまい、当日の夜中の12時半に無事保護したという知らせを頂きました。

飼い主による声掛けと、スマホの録音の呼びきにインコが返事を返し、目視できない暗い茂みの中から呼びかけに応じて飼い主の手元に戻ってきたそうです。

この知らせを聞いて、このページに書いておくべきだったと思うことを追記します。

このページでインコは夜活動しないと書いておりますが、うちにウロコインコ、セキセイインコ、ワカケホンセイインコ、オキナインコがいますが、ウロコインコだけは雛の時から暗闇でも私の声や物音を聞くと声を上げてこちらへ飛んで来ようとしたりしていました。

他にウロコインコを飼っていないので、この特性が種によるものか個体によるものか判断が付きかねますが、今回保護された状況を考えるとウロコインコの特性かも知れず、また他の種でもそのようなケースがあるかも知れません。

うちはウロコインコの影響を受けて、最近はいっしょに寝ているオキナインコも真夜中でも私に気づくと起きて喋ったり鳴いたりするようになりました。

よって、

もし再会できないまま日が暮れてしまったら早めに帰り、なるべく心の緊張を解いてゆっくり休みましょう。

と私が述べているのは早計で、個体によっては夜になっても探し続けるほど、迷いインコが見つかる可能性は高くなるとことには違いありません。

自分の鳥が暗闇でも反応したり、返事をするかなどは普段からの飼い主の知識によります。

例として紹介した方が良いと思い、本文を訂正せず追記としました。

ウロコインコ以外でもそのような例をご存じの方は情報を寄せていただければ幸いです。

また、他にもこのサイト内に誤りや至らない点がありましたら指摘していただければ幸いです。

今回は雪の中、夜中まで探されてその甲斐あったというご報告でした。

何はともあれ無事に帰って来て本当に良かったです。   2021/01/11



 
丸一日行方不明になり帰って来たセキセイインコのステファン(青)。ジャンゴと再会して安堵したところ。


捕獲

鳥が見慣れた服装

笑顔が大事、家と同じようにふるまう

大きな音、大きな動き、速い動き、見慣れないものはNG

まっすぐ近づくと逃げるかも


逃げたインコがうちに帰ってきたら

もし逃げたインコが庭に帰ってきて手の届かないところにいるときは、餌を入れてケージを置いてやり、仲間の鳥の入ったケージもよく見えるところに置き待ってやります。

見えやすい窓辺や縁側があればいいですが、そうでない場合は逃げた鳥から認識できる範囲で、軒の下や木の陰、壁を背にした場所を選んだ方が帰ってきやすくなります。

これは、外に出た小鳥はカバーのないオープンな空を怖がるので、ケージの天井や後ろ側に少し被る程度の屋根や木、壁がある方が安心するからです。


逃げたインコをよそで見つけたら

家から離れた場所でどこかに止まっているのを見つけた時は、喜んで飼い主の方に飛んでくる鳥もいるかも知れませんが、ほとんどの場合はナーバスになっているので、また飛び立って見失ってしまわないように無難と思える方法を説明します。


一番大事なことは、飼い主の表情、言動、心理状態がもろに鳥に影響することを意識して行動することです。

たとえ心配でたまらなくても、リラックスしているように演技をしてください。

近づくときには、普段その鳥が見慣れていないものを手に持ったり身に付けたりしてはいけません。

服、帽子、サングラス、バッグなども気を配ってください。

近づく前に名前を呼んで反応を見ます。

返事をしたり嬉しそうであれば、極端な大声を出さず笑顔で話かけながらゆっくり近づきます。

名前を呼んでもあまりリアクションがなかったり、不安そうな表情をする場合は、たとえ飼い主でもまっすぐ近づいたら逃げる可能性があります。

鳥を見続けず、まっすぐではなく円を描きながら大回りをして行く、または斜めに反れながら何度も止まって、1、2歩づつゆっくりと近づきます。

近くまで行ってもすぐに手を差し伸べたり捕獲を試みたりせずに、話し続けてやります。

その時もリラックスするまで鳥の方を見続けてはいけません。

表情が和らいできたらゆっくりと手を近づけてやります。


逃げたインコが高いところに止まっていたら

鳥が高いところから降りてこない時は、高さが怖いのではなく下の状況が怖いからだと思われます。下で見守りながら話しかけてやり、気長に待つと降りてくることもあります。

また、その木の反対の方角で待つと降りてくる可能性もあります。これは片方に怖い物や動物がいる場合などです。それは人には何か分からず、見慣れない看板か1キロ先に止まっているカラスかも知れません。

私の経験では、こんな時にこっちに来るように名前を連呼し続けるのも逆効果になることの方が多いです。

また名前を呼ぶと毛づくろいを始めるときはリラックスではなくナーバスな時です。

人間が不安な時や思い通りにならない時、他人と顔を合わせたくない時に髪を触ったり、用もないのにスマホの画面を見たりするのと同じです。

家で遊ぶときと同じように「賢いね、かわいいね」と鳥がポジティブワードとして受け止める言葉をかけ、なるべくリラックスしたムードを作りながら、時々家で呼ぶときと同じように名前を呼んでやります。

自分の名前に反応しない時は、他のポジティブな刺激を試してください。

仲間の鳥の名前や家族の名前、いつも家で聞いている会話、例えば「ご飯よぉ!」と言いながら餌の入った袋や箱を振って静か目にカサカサ慣らす、お気に入りのおもちゃを見せながら「楽しいねぇ」と言うなどです。

またクリッカーを使ってトレーニングをしたことがある鳥なら、クリッカーを見せながら呼ぶのは効果的です。


とにかく大きな音、大きな動き速い動き、見慣れないものによる刺激は禁物です。

特に捕獲用の網や梯子など鳥が見慣れていない大きなものを持っていきなり近づいてはいけません。

鳥は小さなものでも、知らないものが自分に向かってくると敵と認識します。

たとえ飼い主の手にあっても恐れて逃げてしまう可能性が高いです。

うちのウロコインコは外を自由に飛び、迷わず私のところに帰ってくるスキルがありますが、今でも初めて見るものを私が手にすると逃げてしまいます。新しいペンや封筒のようなものでも逃げます。

いつも食べている粟の色が赤色に変わっただけでも恐れます。

まずは鳥の様子を確認し、やむを得ず大きな物を持っていく時はあまり鳥の方を見続けてまっすぐ近づいてはいけません。

短い距離でも何気ない感じで、わざとよそ見をして遠回りをしたり途中で止まったりしながら時間を掛けて近づきます。

近づいた後はすべての所作をゆっくりと、最低限の動きで行ってください。


誰かの目撃情報が入ったときは、他の人に捕獲を試みないようにしてもらい、飼い主自身が行くまで近くで見ていてくれるように頼む方が無難です。

よその人に捕獲され無事に戻ってきたインコがSNSで紹介されてますが、簡単に捕獲できる鳥は、外が怖いのでよく知らなくても人間といる方がましだ鳥が判断した場合か、もう逃げる気力がないほど疲労困憊か神経衰弱の状態になっている場合だと思います。


目撃情報が入ったなら一刻も早く駆け付けましょう。

捕獲出来たらケージがなくてもジャケットやハンカチに包んだり、バッグや箱、紙袋に入れて帰ることもできます。

外で餌を与えるなら

庭に帰って来たけど捕獲できずにまた見失ってしまった、また特定の場所で時々見かけるという目撃情報があったけど、行ってもそこにいないというときに、迷いインコの衰弱を防ぐ目的で餌を置いてやる場合は、小さな器ではなく直接地面に広範囲にばら撒き、水もなるべく広く浅い器に入れてやる方が効果的と思われます。インコが見慣れた器を使えるときも、その周りにも見えやすいくらい多めに餌をばら蒔いた方がいいでしょう。

ケージで飼われて育ったインコは、所定の餌箱以外にある餌をなかなか認知しないことが多いためです。

野鳥が先に食べてしまうかも知れませんが、その野鳥を見てインコが餌を認識してくれるかも知れません。

いずれにしても目撃情報があればインコが帰ってくる可能性がぐんと高くなります。

その場所に通いながら、通りがかりの人たちにも協力も呼びかけましょう。






自分の経験

セキセイインコが逃げた時

ある日の午後、気が付くとベランダのアビアリーからセキセイインコのステファンがいなくなっていました。

ステファンはまだ数か月の若鳥でした。

小さな隙間から抜け出したようで、逃げてからだいぶ時間が経っていたのか呼んでも返事がなく、家の周りを見ても見当たりませんでした。

その場で携帯で、ステファンの相棒のジャンゴの声を30秒ほど録音してスピーカーで流しました。

ジャンゴとステファンは雌同士で特別仲も良くなく、付かず離れずといった感じです。

離れれば呼びあいますが、止まり木や餌を食べる時に近づきすぎるとよく喧嘩をしています。


ベランダでスピーカーからジャンゴの声を流しながら自分は家の周りを探しました。

改めて耳を澄ますとセキセイインコに似た声を出す野鳥もたくさんいて、自信がもてなくなってきます。


逃げた方角も知らないので当てもなく、携帯スピーカーでジャンゴの声を流しながら名前を読んだり口笛を吹いたりして回りましたが、ステファンからの返事はなくその日は暮れてしまいました。


天気予報を見るとその夜は気温が0度となっており、ステファンがかじかみながらどれだけ心細い思いをしているだろうと思うと、無事でいてくれ、明日は帰って来いよと祈るような気持ちでした。


翌朝早くからまたスピーカーでジャンゴの声を流しました。

近所には申し訳ないけど緊急事態なので許してもらおうと割り切りました。

そしてたしか午前10時半くらいになって、ベランダに放しているジャンゴといっしょに「ステファン!」と呼びかけているときに、どこかから返事が聞こえた気がしました。

もう一度呼んで耳を澄ませると、たくさんの野鳥の声に紛れてかすかに聞こえます。

そこでジャンゴを見ると反応しています。

やはりステファンと呼び合っているようでした。

急いで外に出て口笛を吹くと今度は返事がはっきり聞こえてきました。

その方角を見ると近所の庭の木の中に戻ってきていました。

うちの周りは猫がたくさんいますが、ステファンはちゃんと枝のよく詰まった木を選び身を守っていました。


指を差し出すと乗ってきたのでそのまま連れて帰りました。

家では普段よほど空腹のとき以外は手に乗ってくれません。

ベランダにいるジャンゴを部屋に連れてきて、同じケージに入れてやりました。

その時のステファンのほっとした表情が忘れられません。

普段、付かず離れずくらいのクールな関係でも再会を喜び合っているのが分かりました。

私も緊張が緩み一気に疲れが出てぐったりして横になりましたが、少し時間が経つとステファンが帰って来たことが本当に現実なのかと思い、体を起こしてはステファンのケージの方を見たりして、なかなか寝付けませんでした。

本当に夢のような嬉しさでした。


無事に帰ってきて、ご飯を食べたらすぐに眠りだしたセキセイインコ

この頃は多少のインコの行動パターンの知識がありましたが、やはり無事に戻ってきたことは幸運にも恵まれたからだと思います。

何はともあれ天に感謝という気持ちでした。



まとめ

  • インコを探すときは目で見て探すことよりも、耳を澄ましてインコからの返事があるかを確認することが重要
  • 飼い主が名前を呼ぶだけでなく、他のインコによる呼び鳴きを聞かせることが非常に効果的、すぐにリアクションがなくてもなるべく大きな音量で流し続ける
  • 逃げたインコは自力で家に帰ってくることがあるので、捜索に出るときも一人は家で見張る
  • 捜索、捕獲の際はインコが見慣れた服装で、家で遊ぶときと同じようにリラックスして振る舞う
  • インコがナーバスな時は飼い主でもまっすぐ近づいてはいけない


以上、私が考えるインコが逃げたらすぐにすべきこと、捜索、捕獲の際にすべきこと、してはいけないことを解説してみました。



ここではSNSでの協力の呼びかけや、ポスター、警察への届けなど二次的なことはネットに案内がたくさんあるので省いています。

補足するとすれば、近所の人や通勤や散歩でその辺をよく歩く人に会ったら、手書きでもいいので電話番号を手渡しすることです。

スーパーや電柱のポスターを見ても、これから出会うかどうかも分からない他人のインコのために電話番号をメモする人はまずいないと思います。

私が鳩を探した時は田舎の良さもありみんな真剣に聞いてくれて、渡した電話番号の紙を財布にしまってくれました。


自動車や人、騒音や外敵が多いかなどの環境、各個体の性格(のんびり屋か臆病か)、飼い主との関係(普段のスキンシップやトレーニングの有無)、体力や飛行スキル(家の中毎日飛んで遊んでいたか)により状況は千差万別で、それに応じて臨機応変に対処すべきですが、なるべく無難で、基本的と思える方法を挙げました。

痛い失敗も含む自分の経験と知識に基づいたベストと思う方法です。

無論ここに書かれたことにより、事故や事態の悪化を招いても責任は取れませんが、明らかな間違いや他にベターな方法がある場合は、忌憚なく指摘してください。

少しでもどこかのインコと、その飼い主のお役に立てれば幸いです。

幸運をお祈りします。


参照リンク

オカメインコのロストについて・行動パターンと捜索方法 解説

この動画のコメント欄をぜひお読みください。貴重な情報をいただいております。

オカメインコの捜索に特化した音声の解説

なぜ飼われているインコは逃げるのか?



追記:

このページを書いている最中ですが、昨日の夕方鳩を見失いました。

今朝、その場所の近くの見渡しの良い場所でホイッスルを吹くと戻ってきてくれてほっとしましたが、首の付け根に出血の跡があり心身ともに疲労困憊していました。

鷹かハヤブサによるものと思いますが、幸い傷は浅くゆっくり休めばすぐに回復すると思います。

これはケージから逃げたのではなく、フライト中に猛禽類に攻撃された鳩がなんとか逃げきれたけど、私の待つ方に帰ろうとするとまたその猛禽が襲ってくるので帰れなかったというケースだと思われます。

どこをさ迷っているのか、安全なところで寝ているかと、心は休まりませんでした。

幸運に感謝です。



追記 2:

今日、白鳩を肩に乗せてサイクリングをしていると、すれ違いのおじいさんが

「お、鳩が帰ってきたんか?」

と嬉しそうにで話しかけてくれました。

以前、鷹に襲われ三日間見失い、捜索中に電話番号をお渡しした一人でした。

もう3か月くらい経つかと思いますが、

「今も財布に電話番号を持っとるんよ」

と言ってくれました。

ありがたいことです。 2020/09/19


追記3:

SNSで毎日たくさんのインコが迷子になっていることを知ったと書きましたが、試しに ”インコが見つかった” というキーワードで検索してみるとそちらもたくさん報告がありました。

数か月経って帰って来た例もあるようです。




保護したインコの飼い主が見つかった

逃げたインコと7か月も経っても再会できた例

インコが無事帰って来た

インコが保護され飼い主の許に戻って来た例

インコを保護した人が飼い主を探した例

インコの飼い主が保護した人を探した例

インコを保護した人がネットで飼い主を見つけた例