小学校の一年生か二年生のころ、まだ羽の生えそろわないセキセイインコを買ってもらって、夜、抱いてテレビを見ていた。
画面に映る海外の森から野鳥の声が聞こえると、手の中で眠っていた雛が
「ピー!」
と鳴いた。
それまで聞いたことのなかった高く澄んだ、大きな声だった。
向こうの鳥たちに
「ここにいるよ!」
と言ったんだと思い、なんとも悲しい気持ちになった。
ずっと時が過ぎて、数年前に新たにセキセイインコの雛を迎え、ジャンゴと名づけた。
その時は一羽のつもりだったが、フェリーチェ、シエリートと種の違う鳥もだんだんと増えていった。
時代は変わり、今はユーチューブでいつでも好きなだけインコや鳩の映像が見れるようになったけど、この小学生の時の体験があったので、鳥たちにずっと音が届かないようにして見ていた。
一年くらい過ぎてから、恐る恐る試してみたら大丈夫だった。
大丈夫というのは、うちにいて幸せで、どこか他所の世界を恋しがってなさそうに見えた、と言えばいいのだろうか。