【インコのフリーフライト】のページにウロコインコの波状飛行について書きましたが、鳥の生態を解説したサイトには波状飛行について「羽を閉じて惰力で進む間にエネルギーを節約できて、羽を休めることもできるメリットがある」と解説してあります。
本当に省エネかどうか疑問が残りますが、そのことはさておき私は波状飛行は小型の鳥が猛禽類に対抗するために得た技術ではないかと思っています。
まずは、敵に追われたら羽を閉じて敵が入れないような細かい枝の間を縫って逃げられること。
それに加えて以下が私の考察です。
私の住む地域では波状飛行をする最大の鳥はヒヨドリです。
ある日一羽のヒヨドリが、100メートル以上向こうから中型の鷹に追われてこちらに飛んできました。
偶然にも私の頭上を通り過ぎ、2羽はそのまま後方の山を越えて見えなくなりました。
こう聞くと、さぞかし全速力で必死に鷹から逃げているヒヨドリの姿を想像しませんか?
しかし実際は通常ヒヨドリ同士の群れで、山から山に移動するときの速度よりも遅く、波状飛行でいうなら細かな波を描きながら、さらに左右にジグザグニ飛んでいました。
飛ぶというよりも、カエルのように跳ねるという印象でした。
速度が遅い分、惰力が弱いので”羽ばたく”・”羽を閉じる”を繰り返すペースが速くなるということです。
そして追っている鷹の方はヒヨドリに接触できそうなくらい追い詰めながらも、この波の動きに翻弄されているように見えました。
おそらく捕食者の側からすると、スピードが速くても直線的な動きをする獲物の方が先が読めて狙いを定めやすいことと思います。
そして彼らの翼は細かな上下運動に対応していないので、波状飛行をする獲物を後ろから追い掴むのはやっかいな仕事になるはずです。
そして波状飛行にはもう一つ大きなメリットを感じます。
それは、鳥が翼を閉じると面積が小さくなるということです。
縦の長さを抜きにしてごく分かりやすく言うなら、鳥が翼を閉じた状態を真上から見ると、翼を広げたときの4分の1か、5分の1程度の大きさになります。
鷹は前後左右ばかりでなく、真上や真下から掴みかかってくるものもいます。
隼は獲物を掴み取るだけでなく、上空から猛スピードで打撃を与え地面に叩き落とすことをします。
弓や射撃の的の大きさが4分の1になるのと同じく、その相手が小さくなれば当然狙いにくくなります。
もしくは横向きだったはずの鉄棒にぶら下がろうジャンプとしたら、急に縦向きに変るような感覚でしょうか。
さらに上下左右の動きを加えて、小さな鳥が大きな猛禽たちを巧みにかわします。
その技を凌駕しヒヨドリを捕食するタカやハヤブサもおり、自然界の熾烈さに感嘆してしまいます。
あのヒヨドリは逃げ切ったのでしょうか。